トランプのロシアゲート報告書の情報源も変死

 他にも暗殺された政治家や実業家は数多くいますが、多くのケースで犯人は捕まっていません。

 アメリカの元情報機関員が会員の「元情報オフィサー協会」(AFIO)の機関誌『インテリジェンサー』2016年11月号の記事「スターリンの弟子~ウラジミール・プーチンとロシアの最新【ウェット・アフェアーズ】(ウエット・アフェアーとは、暗殺などの血なまぐさい事件を指す隠語)では、プーチンの権力奪取以降にロシア情報機関によって暗殺あるいは攻撃された可能性がある主な被害者40人のリストがあります。すべてがロシアのしわざとは断言できませんが、興味深いリストです。

「スターリンの弟子~ウラジミール・プーチンとロシアの最新【ウェット・アフェアーズ】

 このリスト以降の最近の注目される例でいうと、2016年12月、モスクワで元FSB幹部のオレグ・エロビンキンが、変死体で発見された事件があります。エロビンキンは国営石油会社ロスネフチ社の幹部になっていましたが、前述した元MI6ロシア部長のクリストファー・スティールがトランプ=ロシア関係を調査したときの情報源の1人と疑われていました。スティールの報告書に、プーチン側近のロスネフチ社会長イーゴリ・セチンの関係者から情報を得たことが書かれていたからです。

 2017年2月には、モスクワ在住の反プーチン活動家の元テレビ局員ウラジーミル・カラムルザが、謎の中毒状態で昏睡状態に陥るという事件もありました。これもロシア情報機関の犯行とは断定できませんが、まさにプーチンに逆らう者は生きていけないのがロシアという国なのです。

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Photo/Kremlin.ru